技能実習制度から「育成就労」へ──企業が今から知っておくべき新制度の全貌とは?
2027年4月── 長らく続いてきた「外国人技能実習制度」が、ついに新たな制度「育成就労」に置き換わります。
これは単なる名称変更ではなく、外国人材の受け入れに関する日本の方針転換を意味する大きな改革です。
今回は、政府が示した省令・告示案のポイントと、企業として今後どう備えるべきかを解説します。
育成就労とは?──制度の目的と概要
「育成就労」は、外国人労働者を3年間かけて計画的に育成し、特定技能1号レベルの人材に引き上げることを目指す制度です。ポイントは以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
制度開始 | 2027年4月予定(2025年6月現在はパブリックコメント中) |
受け入れ対象 | 現技能実習生と類似職種(建設・介護・製造等) |
転籍 | 原則3年育成後、一定条件下で1~2年後の転籍可 |
教育義務 | 日本語教育100時間以上を企業に義務付け |
地域バランス | 都市部(東京・大阪など8都府県)は制限強化、地方は受け入れ枠緩和 |
仲介機関 | ハローワーク等の公的機関のみに限定(民間ブローカー排除) |
制度設計の背景──なぜ見直しが必要だったのか
この新制度の導入には、以下のような構造的な課題と社会的圧力がありました。
- 人材の都市部集中
→ 地方の深刻な人手不足に拍車をかけていた - 転籍自由化による人材の流動化リスク
→ 「育てた人材が大都市にすぐ流れる」事態を回避する必要 - 初期費用の回収困難
→ 教育・受入コストをかけたのに、短期離職で赤字となる企業も多発 - 悪質な仲介業者の排除
→ 過剰手数料・搾取被害を防ぐため、制度的に公的機関へ一本化 - 国際的な信頼回復
→ 技能実習制度は国際社会から「現代の奴隷制度」と批判される場面もあり、イメージ刷新が急務だった
企業にとっての影響と対応ポイント
「育成就労」は“ただの制度移行”ではありません。企業に求められる責任と管理体制は、これまでより厳格になります。
主な対応が必要なポイント:
- 100時間以上の日本語教育を社内で準備(もしくは外注)
- 転籍リスクに備えて定着支援体制の整備
- 受け入れ初期コストの補填ルールを理解・活用
- 地方企業は受け入れ上限の緩和をチャンスと捉え、戦略的に採用を検討
- 監理支援機関の体制(相談窓口・外部監査)にも注目
「育成就労」は、外国人材と企業が“共に成長する”新しい枠組みです。人手不足の打開策として外国人材を受け入れるのでしたら、貴社の外国人採用戦略に関して、柔軟に個別対応させていただきます。ご相談は、当社までお気軽にお問い合わせください。