“いつ辞めるかわからない”──不安定化する日本の労働市場と、企業がいま直面する本質的リスク
近年、「管理職になりたくない日本人77%」や「退職代行サービスの利用が連休明けに急増」といった報道が相次いでいます。
こうしたトピックが示すのは、もはや若年層に限らず、日本全体の働き方が「続かない」「つながらない」構造になりつつあるという事実です。
“いつ辞めるかわからない人材”というリスク
ハローワークの活用、転職、副業、起業など、働き方の選択肢が増えた一方で、企業側の視点から見ると「人材が定着しない」「教育したのに辞めてしまう」といった課題が急速に広がっています。
実際に、以下のようなケースも珍しくなくなっており、企業がかけた人材投資が「無」になるリスクが現実化しています。
- 採用後わずか数週間での離職
- 理由の説明もないままの突然の退職
- 配属直後に音信不通になるケース
背景にあるのは“個人”ではなく“社会の構造”
このような事象を、個人の「甘え」や「根性不足」といった言葉で片付けてしまうのは極めて危険です。本質的な原因は、社会全体の構造にあります。
● 教育による影響
- 「間違えないこと」が求められ、挑戦や粘り強さが育ちにくい
- キャリア観や職業観を養う機会が不足し、就業後のギャップに対応できない
● 社会的な影響
- 長時間労働や責任の過重により、「管理職=損な役回り」という認識が広まっている
- 将来像を描けるロールモデルが不足し、「働く意味」が見えづらい
● メディア・SNSによる影響
- 「辞める=正義」「逃げる=自由」といった価値観が日常的に拡散されている
- 情報が過剰に感情的に消費され、長期的なキャリア設計が難しくなっている
こうした環境で育った結果、多くの人が「合わなければ辞める」ことを特別な選択とは捉えず、行動に移しているのです。
“外国人労働者の安定性”という選択肢
このような不安定な雇用状況の中、企業があらためて注目し始めているのが外国人材の安定性です。
- 在留資格によって一定期間働く法的拘束がある
- 生活や家族への仕送りなど、働くことが生活と直結しており、動機が明確
- 雇用されたことへの感謝と責任感を強く持っている
こうした特徴により、企業にとって“読みやすく、安定的に定着しやすい人材”として、外国人労働者は再評価されています。
これからの人材戦略に求められる視点
企業がこれからの時代に人材戦略を構築していく上で、私たちが重視すべき視点は以下の3点です。
- 「継続性」「責任感」「成長意欲」に基づいた評価と選定
- マニュアル的な教育よりも、“関係構築力”と“心理的安全性”を軸とした定着支援
- 日本人・外国人の区別にとらわれないハイブリッドな人材設計
「全員がすぐ辞める時代」ではありません。
しかし、「すぐ辞める人が確実に増えている時代」であることは、否定できない事実です。
だからこそ企業には、“信頼できる人材を見極める目”と、“つなぎとめるための仕組み”が強く求められています。
私たちが支援するのは、「人を活かす企業づくり」です。
当社では、外国人材活用をはじめとする人材定着支援、DX導入による育成の効率化、制度設計の見直しまで、持続可能な組織づくりを総合的にサポートしています。
組織に「次の一手」が必要と感じたときは、ぜひご相談ください。