外国人を雇用するには何が必要か?

近年、外国人労働者を街中で見かける事が多くなり、特に人手不足が顕著な業界では自社で外国人採用を、と検討されている経営者も少なくありません。この文章では、初めて外国人を採用する企業向けに大まかな概要を説明します。
採用担当が最初に押さえる全体像
結論から言うと、外国人雇用で必要なのは、下記の3点です。
「①在留資格(ビザ)と就労可否の確認」
「②採用〜入社までの入管・労務手続き」
「③定着のための運用(言語・文化・ルール整備)」
近年、外国人労働者数は増加が続いており、令和6年10月末時点で 約230万人(2,302,587人) と過去最多を更新しています。
外国人採用は、もはや特別なことではなく、正しい手順を踏めば中小企業でも十分に実行可能です。
外国人採用ビザ(在留資格)で最重要:まず「その人は何の仕事ができるか」を確認する
外国人は「在留資格=やってよい活動」が決まっています。採用側が最初にやることはシンプルで、以下を確認する必要があります。
- 在留カード等で、就労できるか(就労制限の有無)
- 採用する仕事内容が、その在留資格の範囲に合っているか
- 在留期間(いつまで働けるか)
以下、代表例を挙げます。(ざっくり)
- 技術・人文知識・国際業務(いわゆる“技人国(ギジンコク)”):エンジニア、経理、人事、企画、通訳、営業(内容次第)など「専門性が前提」の仕事に多い
- 特定技能:人手不足分野で即戦力として働く制度(企業側の手続き・運用が大事)
- 留学・家族滞在など:原則「就労不可」だが、資格外活動許可があれば条件付きで働ける(許可が必要)
在留資格の詳細や申請導線は 出入国在留管理庁 の公式情報を基準にするのが安全です。
外国人採用の流れ(国内採用/海外採用)
1)国内にいる外国人を採用する流れ
- 書類・面接(日本人採用と同様)
- 在留カード等で「就労可否・在留期間・資格外活動許可」を確認
- 内定・雇用契約
- 必要なら 在留資格変更/更新(仕事内容が変わる、期限が近い等)
- 入社後:社会保険・雇用保険など通常の労務手続き
- 外国人雇用状況の届出(後述)
2)海外から呼ぶ(海外在住人材)採用の流れ
- 内定・雇用契約
- 企業側で 在留資格認定証明書(COE) 等の手続き
- 本人が現地で査証(ビザ)取得 → 入国 → 入社
※制度・状況で変動が大きいので、採用計画は余裕を見ます。
3)特定技能の流れ(企業側の「支援」がポイント)
特定技能1号は、雇用契約に加えて「支援計画」など企業側の要件が出ます。公式の「雇用までの流れ」もステップで整理されています。
外国人を採用するデメリットは?
(よくある“つまずき”と対策)
デメリットは、裏を返すと「運用で潰せるリスク」です。
- 在留資格と仕事内容のミスマッチ:これが一番致命的(不許可・退職に直結)
- 日本のルールが伝わらずトラブル:労働条件、残業、評価、手当、休暇など
- 言語・文化のズレによる定着率低下:現場の指示、暗黙知、相談しづらさ
- 社内側の受け入れ体制不足:現場任せで放置→早期離職
実際に 厚生労働省 も「言語の違い・労働法制や慣行の理解不足からトラブルが生じやすい」前提で、就労環境整備を助成対象にしています。
外国人を雇い入れるメリットは?(採用難の時代に“採れる”が最大の価値)
- 採用母集団が広がる(国内採用が止まっている業種ほど効果大)
- 現場の安定稼働/欠員リスクの低減
- 海外対応・多言語対応の内製化(営業・CS・越境ECなどにも波及)
- 組織に“標準化”が入る(マニュアル化・見える化が進み、日本人にも効く)
外国人労働者が過去最多で増え続けている背景には、企業側の需要が明確に存在します。つまり「正しくやる会社ほど、採用で勝ちやすい」局面です。
外国人の採用で注意すべきことは何ですか?(チェックリスト)
最低限これだけ守れば、失敗確率は一気に下がります。
A. 採用前
- 在留資格と仕事内容が一致しているか
- 在留期間(期限)と更新・変更の必要性
- 日本語レベルだけでなく「業務コミュニケーション設計」(誰が何をどの言語で)
B. 入社時
- 労働条件通知書/雇用契約の“分かる化”(やさしい日本語・必要なら翻訳)
- 就業規則・安全ルール・評価基準の共有
C. 入社後(定着)
- 相談窓口(苦情・相談体制)
- 現場の指示系統(メンター/責任者)
- 多言語の掲示・業務マニュアル整備
この「定着の型」は、後述の助成金要件ともかなり重なります。
外国人の在留期間5年ルールとは?
「5年ルール」は文脈で意味が変わりますが、企業実務で頻出なのは 特定技能1号の通算在留期間(原則5年以内) です。一方で 特定技能2号は通算在留期間の上限がない と整理されています。
つまり、特定技能で採用する場合は「この人の通算が何年まで来ているか」を把握しないと、採用したのに長く雇えないが起きます。
外国人雇用助成金(条件つきで使える代表例)
いわゆる「外国人雇用助成金」で、外国人向けに分かりやすいのは
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) です。
主な条件(ざっくり)
- 外国人労働者の定着のため、就労環境を整える計画を作って実施する
- 具体策として、例:
- 就業規則等の多言語化
- 苦情・相談体制の整備
- 社内マニュアル・標識類の多言語化
- 一時帰国のための休暇制度の整備 など
- 申請実務や注意点はガイドブックにまとまっており、内容は改定され得る(最新版参照が必須)
「条件が多くて難しそう」と感じるかもしれませんが、要するに “外国人が辞めにくい職場”の基本セットを整える助成金 です。整備した仕組みは日本人にも効くので、投資対効果は高いです。
法令上、必ずやる届出:外国人雇用状況の届出(翌月末まで)
外国人を雇い入れた/離職した場合、事業主は 氏名・在留資格・在留期間などを確認して届出が必要です。期限は 雇入れ・離職ともに「翌月末日まで」 と明記されています。提出先は原則、管轄の ハローワーク です。
まとめ:最短で失敗しないための“順番”
- 在留資格(ビザ)×仕事内容の一致を最優先で確認
- 国内採用/海外採用/特定技能で、手続きフローを分けて設計
- 定着は「翻訳・相談窓口・マニュアル」で最初に仕組み化
- 届出(翌月末)と、使える助成金の要件を早めに確認
必要なら、あなたの会社の「職種・勤務地・雇用形態・想定人材(技人国/特定技能など)」を前提に、採用フローを1枚のチェックリストにして、そのまま社内で回せる形に落とし込みます。


