補助支援のはずが足かせに?創業補助金で失敗しやすい典型パターンとは
創業間もない企業にとって、国や自治体の補助金制度は「追い風」になる──本来はそう期待されるものです。
しかし実際には、
- 「補助金があるから始めたのに、かえって資金繰りが苦しくなった」
- 「想定以上の手間と制約で、むしろ事業の軸がブレてしまった」
といった声が少なくありません。
本記事では、創業補助金を活用する際に企業が陥りやすい“典型的な落とし穴”と、それを回避するための実務的なポイントをご紹介します。
落とし穴①:補助金ありきでビジネスモデルを構築してしまう
【事例】
あるベンチャー企業が「設備導入型の補助金」を活用するために、本来の戦略にはなかった高額な機械を先に購入。
その結果、事業展開が追いつかず、“稼働しない資産”と“資金ショート”が同時に発生してしまいました。
【主な原因】
- 「補助対象経費」を優先し、本来の事業ニーズとズレが生じた
- 設備投資が先行し、事業成長とのタイミングが噛み合わなかった
落とし穴②:申請書類と実際の事業に乖離がある
【事例】
審査を意識して作成した「美しい事業ストーリー」が採択されたものの、実際には市場ニーズが想定以下。半年で事業の方向転換(ピボット)を余儀なくされました。
その結果、「当初計画どおりに執行できない」として、一部返還や報告不備によるトラブルに発展。
【主な原因】
- 理想を盛り込みすぎた申請書と、現実とのギャップ
- 計画変更時の「事前協議」など運用ルールを軽視
落とし穴③:報告業務や経理処理の工数を過小評価
【事例】
少人数の創業チームが、補助金の実績報告や証憑管理も兼務することになり、本業へのリソースが割けず営業が停滞。
「お金は入ったが、売上は上がらない」というジレンマに陥るケースです。
【主な原因】
- 細かい事務手続きやルールに対する認識不足
- 会計処理の不備により、「経費として認められない」項目が発生
創業補助金を“成長の加速装置”に変えるために
① 「目的」と補助金の相性を見極める
- 「補助金を活かしてやるべきこと」ではなく、「やるべきことに合う補助金か?」を基準に判断
- 申請書は、事業計画の“副産物”として作成するのが本来の順序です
② 計画変更の“対応策”を事前に把握しておく
- 方針変更や金額修正が可能か、事務局との相談ルートや運用規定を確認
- 柔軟性を持たせた記載(期日・内容・金額に幅を持たせる)が有効です
③ 報告業務・経理体制を現実的に見積もる
- 証憑管理・経費分類・納品記録など、チェックリストや共有フォルダで明確化
- 必要に応じて、税理士・社労士・補助金専門コンサルを部分的に活用することも検討しましょう
補助金は「事業に合わせて」活用することが肝心
補助金は、適切に活用すれば創業フェーズにおける成長の「助走台」となります。
しかし、制度の仕組みを理解しないまま活用すると、かえって事業の柔軟性とスピードを損なうリスクがあります。
重要なのは、「補助金に事業を合わせる」のではなく、事業に沿って、補助金を必要な範囲で活用するという主体的なスタンスです。
アクシスソリューションでは、創業期の事業計画立案から補助金選定、実行支援、報告体制まで、ワンストップでサポートしています。
創業直後の限られた人材リソースで、「外国人材の雇用+補助金活用」を同時に成功させたい企業様も、お気軽にご相談ください。