経営コンサルタント業の倒産が急増

いま求められる“真のプロフェッショナル”とは
2024年度、経営コンサルタント業における倒産件数が151件に達し、2005年の統計開始以降で最多を記録いたしました。これは、2023年度の146件を上回る数字であり、業界全体にとって大きな転機であると言えるでしょう。

本稿では、なぜ「経営の専門家」であるコンサルタント業界でこのような事態が起きているのか、その背景を紐解きながら、今後企業がコンサルタントを活用する際に重要視すべき“真のプロフェッショナル”像について、当社の視点からご提言させていただきます。
倒産の実態:小規模・属人的モデルの脆弱性
統計データによると、2024年度に倒産したコンサルティング会社のうち、
- 約94%が従業員5名以下
- 約99%が資本金1億円未満
- 破産による倒産が全体の96%を占める
という実態が明らかとなっております。
つまり、小規模で属人的な経営スタイルに依存した企業ほど、現在の市場環境において脆弱性が高いという傾向が見て取れます。
なぜ倒産が増えているのか──3つの背景要因
1. AI技術による業務代替
情報収集や資料作成、基本的な分析といった業務の多くが、近年はAIツールによって自動化されつつあります。単純作業中心のコンサルティング業務は、こうした技術革新に対して価値を示しづらくなっているのが現状です。
2. 専門性と差別化の必要性
企業様が求める支援内容は、事業再生・M&A・DX(デジタルトランスフォーメーション)など、より高度かつ多様化しています。その中で、「何でも対応できる」といった汎用的なコンサルティングスタイルは、選ばれにくくなっているのです。
3. 属人的なモデルの限界
「個人の人脈や過去の実績に依存した経営」では、案件が一時的に途切れただけでも経営に大きな影響が出るリスクがあります。特に後継者不在のケースでは、事業の継続自体が困難となる場合もございます。
今後の展望:淘汰と成長の“二極化”が加速
このような状況を受け、経営コンサルティング業界では、今後以下のような二極化が進行すると予想されます。
- 差別化された専門性を持つコンサルタントは生き残る
- 属人的・汎用的なサービス提供者は市場から淘汰される
また、AIやデジタルツールとの共存が当たり前となった今、単なる「情報提供者」ではなく、課題の実行支援者・変革の伴走者としての役割が、より一層求められるようになってまいります。
当社が考える「生き残るための5つの進化」
1. 明確なポジショニングの構築
「特定業界 × 専門領域(例:製造業 × 業務改善支援)」といった形で、自社の強みを明確に打ち出すことが重要です。
2. AIや業務支援ツールの積極活用
自動化によって生まれた時間を「実行支援」「戦略設計」など、付加価値の高い業務へと転換することが求められます。
3. 属人性からの脱却
知見のナレッジ化や仕組み化、チーム体制の整備により、組織として価値を再現可能な体制を整えることが鍵となります。
4. 「提案型」から「伴走型」への転換
経営課題に対しての提案だけではなく、実行まで共に行うパートナーシップ型支援への移行が不可欠です。
5. 人的資本経営の実践
人材の採用・育成・継承戦略を明確にし、持続可能な経営体制を構築する必要があります。
最後に:淘汰の時代は、変革のチャンスでもあります
倒産件数の増加は確かに厳しい現実ではありますが、それは同時に、本質的な価値を提供できる真のプロフェッショナルにとっては大きなチャンスでもあります。
私たちアクシスソリューションでは、経験にとどまらず、未来の変化に柔軟に適応し、お客様と共に成長していく姿勢こそが「経営のプロ」に求められる資質であると考えております。
皆さまの企業が、この変革の波を乗り越え、次の成長へとつなげていけるよう、誠心誠意サポートしてまいります。